サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を運営していると、重要事項説明書や契約書、料金表など、さまざまな書類を管理する必要があります。特に、住宅事業と訪問介護事業を同一法人や関連法人で運営している場合は、「実際に提供しているサービス」と「契約上のサービス」、「介護保険で請求しているサービス」が一致しているかを確認することが重要です。
「重要事項説明書に書いてあるから大丈夫」と考えてしまうと、思わぬところでサービスの区分が曖昧になっている可能性があります。
今回は、サ高住の運営者が自社の書類と現場を確認するときに、特に見ておきたい4つのポイントを整理します。
サ高住の重要事項説明書をまず確認する
最初に確認したいのが、重要事項説明書です。
例えば、排泄介助について記載されている場合、そのサービスを誰が提供するものとして説明しているでしょうか。
サ高住事業者が提供する住宅サービスとして記載されているのか、それとも外部の介護保険サービスとして整理されているのかを確認します。
重要事項説明書に記載されている内容は、入居者に対してどのようなサービスを提供するのかを説明する重要な書類です。
そのため、「排泄介助」と書かれているかどうかだけではなく、「誰が提供するサービスなのか」まで確認することが大切です。
契約書・料金表でサービスと料金を確認する
次に確認したいのが、契約書と料金表です。
排泄介助について、サ高住側が料金を設定していないでしょうか。
もし住宅側のサービスとして料金を設定しているのであれば、その内容と実際のサービス提供が一致しているかを確認する必要があります。
ここでは、単に料金が設定されているかを見るだけではなく、何のサービスに対する料金なのかを整理することが重要です。
サ高住と訪問介護を同じ法人で運営していると、日常の業務の中で住宅サービスと介護保険サービスの区別が分かりにくくなることがあります。
だからこそ、契約書と料金表を見ながら、どのサービスについて、誰が料金を受け取っているのかを確認しておきましょう。
実際の排泄介助は誰が行っているのか
書類を確認したら、次は現場の実態を確認します。
実際に排泄介助を行っているのは誰でしょうか。
サ高住の職員なのか、それとも訪問介護事業所の職員なのかを確認します。
さらに重要なのは、「排泄介助」という一つの言葉だけで判断しないことです。
例えば、トイレまでの誘導や見守りなのか、衣類の上げ下げなのか、排泄後の清拭やおむつ交換まで行っているのかによって、実際に行っている行為は異なります。
そのため、契約上のサービス内容と、現場で行っている具体的な内容を照らし合わせることが大切です。
「書類にはこう書いてあるが、現場では実際に何をしているのか」という視点で確認してみましょう。
介護保険請求の内容まで確認する
最後に確認したいのが、介護保険の請求です。
その排泄介助について、訪問介護として介護保険請求をしていないかを確認します。
ここまで確認すると、
- 契約上は住宅サービス
- 実際には訪問介護
- 請求も介護保険
という状態になっていないかを整理できます。
重要なのは、重要事項説明書、契約書、料金表、ケアプラン、訪問介護計画、サービス提供記録、介護報酬請求などを一つずつ確認することです。
そして、
「書いてあること」
「実際にやっていること」
「請求していること」
が一致しているかを確認します。
同一法人でサ高住と訪問介護を運営する場合は特に確認を
サ高住と訪問介護を同一法人で運営している場合には、より慎重に確認する必要があります。
「いつもこのやり方でやっている」
「国のひな形に書いてある」
「同じ法人だから問題ない」
という理由だけで、サービスの区分が明確になっているとは限りません。
同じ法人であっても、住宅サービスとして提供するものと、介護保険サービスとして提供するものを整理することが重要です。
特に小さい介護施設の経営では、経営者や管理者が現場の運営まで幅広く確認しているケースもあります。
日々の業務が忙しいからこそ、重要事項説明書や契約書だけでなく、実際のサービス提供記録や介護報酬請求まで確認する機会をつくっておくことが大切です。
老人ホーム経営では書類と現場を一緒に確認する
老人ホーム経営や介護施設経営では、入居者獲得方法や職員確保、稼働率など、さまざまな経営課題があります。
しかし、安定した施設運営を続けるためには、入居者を増やすことだけでなく、提供しているサービスが適切に整理されているかを確認することも重要です。
例えば、入居者獲得方法を考えて施設の規模を大きくしていく場合、利用者が増えるほど現場で提供するサービスも増えていきます。
そのとき、重要事項説明書に記載されている内容と、実際のサービス提供、介護保険請求の内容に違いがないかを確認することが、施設運営上のチェックポイントになります。
「書類は書類」「現場は現場」と分けて考えるのではなく、両方をつなげて確認することが大切です。
判断に迷ったら自治体や指定権者に確認する
自社のサービス区分について判断に迷う場合には、自治体のサ高住担当部署や介護保険の指定権者などに、自社の契約内容と実際の運用を示したうえで確認することも重要です。
特に、同一法人で住宅事業と訪問介護事業を運営している場合は、「これまで問題なく行ってきた」というだけで判断せず、現在の契約や運用を改めて確認してみましょう。
サ高住の運営では、住宅サービスと介護保険サービスの境界を曖昧にしないことが重要なポイントになります。
まとめ
サ高住で排泄介助を行ってはいけない、ということが今回のポイントではありません。
重要なのは、その排泄介助が誰のサービスとして提供されているのか、そして契約・提供・記録・請求が一致しているのかを確認することです。
まずは自社の重要事項説明書を開き、「排泄介助」と記載されている場合には、次の4点を確認してみましょう。
- 重要事項説明書で、誰が提供するサービスとして記載されているか
- 契約書・料金表で、どのサービスに料金が設定されているか
- 実際のサービス提供で、誰が具体的にどのような介助をしているか
- 介護保険請求で、そのサービスを何として請求しているか
この4つを確認し、「書いてあること」「実際にやっていること」「請求していること」が一致しているかを見直してみてください。
小さい介護施設の経営でも、老人ホーム経営でも、入居者獲得方法や事業拡大だけでなく、契約から現場、請求までを確認することが、安定した施設運営につながります。
※本記事は、提供された記事内容をもとに、サ高住運営者が確認すべきポイントを整理したものです。個別の契約や介護保険請求の適法性については、自治体・指定権者等の最新の取扱いを確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。