【小規模施設×訪問看護】入居費を上げずに年間売上1.5億円を目指す介護施設経営の「事業設計」とは?

介護施設や住宅型有料老人ホームの新規開設、あるいは多拠点化・フランチャイズ展開を検討されている経営者様にとって、「いかに収益性を高めながら、持続可能な事業モデルを作るか」は最大の関心事ではないでしょうか。

近年の建築費や人件費の高騰を受け、従来のままの収支計画では経営が圧迫されるケースが増えています。一方で、利用者の負担を抑えたいからといって安易に利益を削る経営では、長続きしません。

この記事では、住宅型有料老人ホームの事業計画や収益モデルの拡大を模索している経営者に向けて、入居費を抑えながら年間売上1.5億円規模を実現する「事業全体の設計方法」を解説します。


1. 「小さい介護施設経営」で直面する収益の壁と課題

小規模な介護施設や住宅型有料老人ホームを立ち上げる際、多くの経営者が直面するのが「施設単体での収益の限界」です。

一般的に、19床程度の小規模施設では「年間売上は8,000万円ほど」と言われることが多く、満床運営を目指すだけでは、スタッフの待遇改善や将来の設備更新、さらには次なる事業展開への投資原資を捻出することが難しくなります。

また、経営において以下のような課題が重くのしかかります。

  • 老人ホームの空室対策と安定した入居者獲得方法の確立に苦戦する
  • 利用者の負担を考慮して価格を上げられない中でのコスト上昇
  • 施設単体の収支だけでは利益構造が脆弱になりやすい

こうした課題を突破するためには、単に「施設を満床にする」という発想から脱却し、事業全体の設計を見直す必要があります。


2. 入居費で利益を取らない「年金で暮らせる価格」の哲学

私たちが小規模施設を建設する際、最初に行うのは収支計算ではありません。「年金の範囲で安心して入居できる価格にすること」を原点に据えています。

  • 食事付きで月額10万円程度という価格帯の設定
  • 生活保護を受給されている方も含め、本当に支援が必要な方を受け入れ続ける仕組みづくり
  • 不動産事業ではなく、地域で安心して暮らし続けるための住まいとしての提供

もちろん、利益だけを追求するならば入居費用を高めに設定することも可能です。しかし、それでは本当に支援を必要とする方が利用できなくなってしまいます。

だからこそ、「安い施設」をつくるのではなく、「無理なく続けられる施設・価格構造」をあらかじめ設計することが、長期的な老人ホーム経営の強さにつながります。


3. 訪問看護の併設(事業連携)がもたらす年間1.5億円モデル

入居費用を低く抑えながら、十分な利益を確保して経営を安定させるカギが、「併設・事業連携」という発想です。

介護施設単体で完結させるのではなく、以下のサービスを一体的に組み合わせます。

  • 訪問介護
  • 訪問看護ステーション
  • 居宅介護支援事業所(ケアマネジャー事務所)

売上と収益のモデルイメージ

  • 介護施設本体(19床規模):年間約1,200万円(1部屋あたり月間売上60万円超の収益モデル)
  • 訪問看護ステーションの併設:年間約3,000万円の売上を積み上げ
  • 事業全体での合計:年間約1.5億円規模の売上を実現

このように、訪問看護等の医療ニーズに対応する専門性の高いサービスを組み合わせることで、施設単体の収支に依存しない強固な収益基盤が完成します。


4. 豊富な売上と利益がもたらす「好循環」の経営

施設単体で約1億2,000万円、事業全体で約1億5,000万円の売上規模(4,000万円の差)を実現することは、介護事業において経営の景色を大きく変えます。

十分な事業利益を確保できるからこそ、以下のような好循環が生み出されます。

  • 職員への還元:平均年収500万〜600万円以上の高待遇を実現し、人材不足を解消する
  • 人材育成・採用への投資:優秀なスタッフが定着する魅力的な組織をつくる
  • サービス品質の向上:質の高いケアを提供し、地域の信頼を獲得することで効果的な入居者獲得方法や老人ホームの空室対策につながる
  • 多拠点展開・FC展開への挑戦:次の事業成長への原資を確保する

まとめ:これからの事業展開に求められる「地域包括ケアの設計力」

介護施設経営とは、単に建物を運営する仕事ではありません。地域に必要な医療・介護サービスを組み合わせ、一人ひとりが安心して暮らし続けられる仕組みを設計する仕事です。

  • 入居費は「年金の範囲内」に抑え、社会的価値を担保する
  • 利益は「訪問看護等の併設・事業連携」によって事業全体で生み出す
  • 確かな収益モデルにより、職員の待遇改善と高品質なケアを両立させる

住宅型有料老人ホームの新規事業展開や多角化を模索している経営者様は、ぜひ「施設単体」の枠を超えたトータルな事業設計に挑戦してみてください。